法人が個人の土地を借りた場合の対応(借地権の発生)

法人が個人から不動産を購入する場合に、建物のみを引き渡すことがよくあると思います。
法人は土地を借りていることになるので、借地権が発生し、以下の3通りの対応が必要になってきます。
無償返還の届出の提出がポピュラーで、忘れていたら相当の地代を払い始めることが多い気がします。

権利金を支払う

まずは、権利金として支払う方法です。
権利金の金額は、土地の時価×借地権割合です。
借地権割合は、国税庁のホームページに路線価と共にA~G(90~30%)で掲載されています。
一括で支払うので結構な金額になります。

法人が権利金を支払った場合には、権利金として繰延資産に計上します。
そして、5年で按分して費用に計上していきます。
賃借期間が5年未満の場合で、契約の更新に際して再び権利金を支払うことが明らかであるときは、賃借期間で按分して費用に計上していきます。

個人が権利金を受け取った場合には、収入に計上することになりますが、金額によって何の所得になるかを判断します。
・権利金の金額>土地の時価×1/2→譲渡所得
・権利金の金額≦土地の時価×1/2→不動産所得
権利金の金額が大きいと、もはや譲渡でしょということになります。
借地権割合が60,70%の地域が多いので、譲渡所得に該当することになります。

相当の地代を払う

次に、権利金として一括で支払うのではなく、毎年、地代として支払っていく方法です。
相当の地代である必要があります。
相当の地代とは、土地の時価×6%になります。
土地からは6%くらいの収益を生むということから、この数字になっています。

法人は支払っときに地代家賃として費用に計上し、受け取った個人は不動産所得として申告をします。

相当の地代は、当初の金額のまま払い続ける据置方式と、土地の時価により変えていく改訂方式があります。
改訂方式の場合には、法人と個人が連名で、届出「相当の地代の改訂方法に関する届出書」を提出することになります。
・提出先:法人の納税地の税務署
・提出時期:相当の地代を払うこととしてから遅滞なく
・添付書類:賃貸契約書、土地の価額の計算明細

無償返還の届出を提出

最後に、土地を無償で貸して権利金を支払わないとともに、土地を返してもらう場合にも立退料を受け取らないとする方法です。

通常、土地を返してもらう場合には、個人が法人に立退料を支払うことになります。
個人は支払った時に経費に計上し、受け取った法人は立退料を収入に計上することになります。
個人と法人で、権利金を払った時とは収入と費用が逆になります。
長い目で見て、相殺し発生しないことにします。

法人と個人が連名で、届出「土地の無償返還に関する届出書」を提出することになります。
・提出先:個人の納税地の税務署
・提出時期:無償で返還することが決まってから遅滞なく
・添付書類:賃貸契約書、土地の価額の計算明細

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