税務調査を行う国税局の部署

国税局で税務調査を行う部署といったらこの3本ではないでしょうか。

国税局資料調査課

資料調査課が調査を行う対象は、個人や税務署所管の法人になります。
こちらも、査察部同様、綿密に準備をして、不正が想定される事案の調査を行います。
査察部と比較すると、不正金額はそれほど多くありません。
税務署が調査選定をする前に目を付けて、一番最初に持っていきます。

基本的には無予告で複数人が、会社であれば本社、代表者宅、関係先に臨場します。
資料調査課には税務署と合同で調査する班と単独で調査する班があります。
1週間、臨場して切り上げて、また別の事案の調査を行うという繰り返しです。

私は税務署にいた時に資料調査課と合同で調査をしたことがあります。
とりあえず、1日目に着手することに対して命を燃やしている感じを受けました。
資料調査課の調査の根拠法令は、税務署の調査と同じ、質問検査権による任意調査になります。
したがって、無予告で臨場しても、予定があれば別日にしてもらうことができますし、税理士が来るまで待ってもらうこともできます。

国税局調査部

調査部が所管している法人は、基本的には資本金1億円以上(沖縄は5,000万円以上)の会社になります。
所管が税務署とは異なることになります。
資本金が1億円より少ない会社でも、売上が多いと調査部の所管になります。
逆に、資本金が1億円以上の会社であっても、売上が少ないと税務署の所管になります。
所管は「調査査察部等の所掌事務の範囲を定める省令」という大臣が制定する省令で定められています。
国税局によって異なりますが、東京では売上100億円が基準だった気がします。

資料調査課や査察部の税務調査とは異なり、悪さをしているから調査という訳ではありません。
無予告で調査することもほとんどありません。
税務署における法人の税務調査の規模を大きくしたイメージでしょうか。
基本的には、税務署では1人が2,3日で調査しますが、調査部では2人がペアになって、最低でも1か月、調査を行います。

国税局査察部

査察部は資料調査課や調査部とは異なる根拠法令により税務調査を行います。
国税通則法の「犯則事件の調査」に基づきます。
査察部の調査は、証拠資料を抑えるために、無予告で着手します。
会社であれば、本社、代表者宅、関係先に一斉に押し寄せてきます。
差押令状をもって強制的に調査を行うので、拒むことはできません。

査察部が着手する事案は不正1億円で、最近では検察への告発件数が少なくなっていることから基準を下げていると言われています。
そして、お金や財産、いわゆるたまりが残っている場合になります。
査察部は、事案を企画する情報班が綿密な準備を行った上で、実施班が着手します。
したがって、査察部が着手した事案は6,7割が検察に告発されています。
告発された事案は、ほぼ100%有罪判決となります。

査察部の調査は年間100~150件ほどで、そんなに多くありません。
思いの他、イメージが先行してしまい、怖いイメージを抱いている方が多くいますが、真面目に申告して納税していれば無縁です。

私は査察部にいたことはありませんし、異動の希望も出したことはありません。
税務署にいた時に査察部が着手している会社に臨場したことがあります。
税務署で調査をしていた会社が、査察部に引き継がれました。
会社から資料を預かっていましたが、直接、査察部に渡すことはできないため、査察部が着手するのと同時に一度会社に返却する手はずになっていました。
物々しい雰囲気です。
場が張り詰めるというか。
おそらく警察の強制捜査と同じような雰囲気ではないかと思われます。
とりあえず、着手と同時に従業員は動かないようにと言われていました。

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