私の国税時代【国税局編後半】

国税庁に2年出向して、国税局に戻ってきました。
調査部の中でも主に国際関係の部署にいました。

主任国際税務専門官(主任1)

上司の役職の名前になりますが、部署名としても使われています。
略して「主任」と呼ばれます。
主任には2つの部門があり、主任1と主任2に別れています。
主任1は、主に外国法人の困難事案を調査する部署になります。

主任国際税務専門官には1年いました。

その中でも記憶に残っているのは、無申告の外国法人の調査事案で、3年目の事案です。
簡単に言いますと、外国法人は、日本において支店、事務所などの施設がないと申告しなくても良いことになります。
そのような施設があるにもかかわらず、申告をしない外国法人の調査をしていました。
日本に事務所があり、脱税スキームを顧客に提供して手数料を得ているにもかかわらず、申告しない悪質な事案でした。
最終的に裁判になってますが、国側が勝訴しました。
当然だと思っていました。

クロスボーダー消費税の調査も行っていました。
スマホなどのゲームは、外国法人がAppleやGooglePlayを通して配信されていることが行っていることが多いです。
この場合、日本に実体はありませんが、外国法人は消費税を申告し納税する必要があります。
最近では知られるようになりましたが、かつては申告せずに漏れていることが多くありました。
日本に実体がありませんので、税務調査では納税管理人を通し、通訳を交えて外国法人と会議することになります。
中には、消費税の基準期間を知って、2年ごとに配信先を変える外国法人もあります。
消費税は実質課税ですが、外国で行われていることで、日本ではその全容がなかなつかめないわけです。

国際調査部門

移転価格調査をする部署になります。
昔は移転価格調査部門という名前でしたが、変わりました。
移転調査だけでなく、通常の調査も併せて行うようになったからです。

移転価格調査は、取引先がある相手国との交渉を見据えて調査をするので時間がかかります。
例えば、ある国にある取引先からの売上が90で、同じ国にある多くの取引先からの売上が100だとすると、その国に10の利益が移転されていると考えます。
税務調査では、日本である取引先の売上を90ではなく100にしましょうとなりますが、それだけでは終わりません。
相手国では取引先の仕入を10増やさないと辻褄が合わなくなるからです。
税務調査後に国税庁で相手国との交渉、相互協議を行うことになります。

国際調査部門には1年いました。
相手国であるスイスから食料品を買って、スーパーに卸している会社になります。
税務調査でスイスからの輸入額が高いと判断されました。
こちらも3年目で、無事に終わりました。
相互協議が終わったのは、更にその2,3年後でした。

広域調査管理課情報分析班

データを活用する部署になります。
国税が保有するあらゆるデータを活用して、事案の選定や調査に役立つ情報を提供することが目的になります。
最近、AIで税務調査の選定を行うといったニュースを目にしますが、実際はそんな有能な状態になってないです。
SEなどの経験者採用試験で入ってきた職員が多かった気がします。

情報分析班には1年いました。
Excelは得意でしたが、なぜ自分が情報分析班といった感じでした。
SASと呼ばれるソフトとPythonを使って、データを扱っていましたが、成果が見えにくい業務をたんたんと行っている感じです。

主任国際税務専門官(リスク)

先ほどとは別の主任国際税務専門官になります。
国際が関係する事案を組成する部署と、国際絡みのデータを活用する部署に分かれています。
前者が企画、後者がリスクと呼ばれ、1人の上司である主任が見ています。

主任国際税務専門官(リスク)には2年いました。
1年目は企画でCFC事案の組成を主に行っていました。
2年目はリスクで情報分析班にいたときの経験を生かしていました。

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