国税局調査部がすごい理由

私は10年国税局の調査部にいましたが、すばらしい部署だと思います。
法人の調査の力を付けたいのであれば、やはり調査部です。

法人課税部門の花形

税務署の法人課税部門で、若手の職員のほとんどは、調査部を希望しています。
調査部の所掌は、基本的に資本金1億円以上の大企業になります。
税務署が調査する中小企業とは異なります。
そんな大企業を調査することができる憧れがあるのだと思います。
大企業ですので調査環境も良いです。

一方で、査察部や資料調査課を希望する若手の職員は少ないと、それぞれの人事担当はなげいているみたいです。
ハードワークだからです。

調査力

税務署の調査では、その会社の全ての取引を確認することができます。
私は、誤りが見つからないのであれば、選定をした統括官に力がないと思っていました。
調査部の調査では、とてもじゃありませんが全ての取引を確認することはできません。
国内に限らず海外取引もあります。
数千、数万人の従業員がいて、その人たちが色々な取引を行っています。

では、そのような多くの取引の中から、どのようにして税務上の誤りを見つけるのかというと、それが調査官の腕の見せ所です。

私を調査部に推薦してくれた人(当時副署長で今は税理士)は調査力が高くて有名な人でした。
その人は、人を見ると言っていました。
全ての取引の始まりは人だからです。

私は、これまでの調査でみられていないところを見るようにしていました。
特に、会社が想定しないようところには誤りが多く見つかるものです。

IT、国際のノウハウ

調査部は、他部に比べると、ITと国際の調査に関するノウハウを持っています。
やはり、大企業ですと取引がIT化され、国境をまたぐようになるので、必然的に必要になってきます。

調査部には、調査開発課というITを専門に扱う部署があります。
情報技術専門官というIT調査を専門に行う役職の人も多くいます。

国際調査課や国際調査管理課を始めとした国際セクションもあります。
税務署ではほとんど触れることのない、移転価格課税、外国子会社合算税制、事前確認などに関する調査も行っています。
かなり大所帯の部署です。
国際税務専門官という国際調査を専門に行う役職の人も多くいます。

調査審理課

調査部には調査審理課という、審理や訴訟を専門に行う部署があります。
訴訟になることが見込まれる場合には、早くから調査に関与し、訴訟を見据えて調査を行っています。
調査が終わり、否認の金額が大きくなると、調査審理課が申告書や調査事項をチェックします。
このチェックが厳しく、付箋が貼られて、不明点を解明する必要があります。
これによって、否認の金額が変わってくることもあります。

調査審理課は、調査担当者寄りでも納税者寄りでもなく、第三者的な立場から意見を言ってくるので、機能している気がします。

タイトルとURLをコピーしました