国税の転職活動における申請・届出

現役の頃から転職活動を始めたいけど、周囲にバレると嫌なので、転職の手続きについて職場には聞き辛いと思います。
でも、申請や届出の提出漏れは、懲戒処分の対象にもなりますので、注意しないといけません。

事前申請

「利害関係企業等に対する求職承認申請書」を求職活動前に提出する必要があります。
税務職5級以上の人が、利害関係企業等に求職活動を行う場合です。
事務官や調査官は税務職が4級以下ですので、提出する必要がありません。

転職先の税理士法人や税理士事務所が、利害関係企業等に該当するかどうかが大切になってきます。

利害関係企業等

利害関係企業等とは、「職員が職務として携わる次の事務の相手方となる営利企業等」です。
その1つに「検査等(立入検査、監査又は観察)を受けている、又は受けようとしている営利企業等」があります。

営利企業等とは、「全ての営利企業及び非営利法人(国、国際機関、地方公共団体、行政執行法人、特定地方独立行政法人は除かれるが、行政執行法人以外の独立行政法人や公益法人等は含まれる。)」です。
税理士法人や税理士事務所は営利企業ですので、営利企業等に該当します。

利害関係企業等に該当するかどうかをみていきます。
検査等には税務調査が含まれます。
したがって、「税務調査を受けている、又は受けようとしている営利企業等」が利害関係企業等に該当することになります。

税務調査を受けているのであればわかりやすいですが、受けようとしているというのは可能性ですのでわかりません。
その範囲をカバーするのであれば、所掌を考えることです。
現在職員のいる部署が所掌している、納税者の関与税理士が該当してくると考えられます。
税務署の例ですと以下の通りです。

  • 調査部門→その部門が所掌している納税者の関与税理士
  • 副署長→税務署が所掌している副署長の系統(法人、個人、資産)に係る納税者の関与税理士
  • 署長→税務署が所掌している全ての納税者の関与税理士

検査等の方針及び実施計画の作成に関する事務に携わる職員も含まれますので注意してください。
例えば、調査企画する部署の職員ですと、その企画対象となる納税者の関与税理士も該当してくると考えられます。

納税者は住所から所掌をある程度、判定することができますが、所掌している納税者の関与税理士まではわかりません。
一番良いのは、業務として税務調査や調査企画を行っていないタイミングで転職活動をすることです。
そのようなタイミングでなくても転職活動を行いたい場合には、転職エージェントに予め、所掌している納税者の関与先ではない税理士法人や税理士事務所を条件として伝えておきます。
例えば、このエリアに関与先の納税者がいないこと、といった感じです。

転職サイトの公開情報から職員が特定される場合には、税理士法人や税理士事務所に利害関係企業等が含まれる可能性があるので、公開をオフにしておきます。
税理士法人や税理士事務所からのスカウトであっても、利害関係企業等が含まれる可能性があるので、こちらから選ぶ方向で活動します。

事後届出

「在職中に再就職の約束をした場合の届出」を求職活動が終わって、転職先が決まった場合に提出する必要があります。

「再就職の約束をした日」から1週間以内に提出することになっています。
約束した日というのはいつでしょうか。
内定が通知された日ではありません。
内定の通知に対して返事をした日になります。
つまり、転職活動において、この日に内定の通知をください、この日に返事をしますといったかたちである程度調整することが可能ということです。

タイトルとURLをコピーしました