なるべく最初に税務代理人ということを説明するようにしています。
税理士法第1条
税理士法第1条には、税理士は「独立した公正な立場」において納税義務の適正な実現を図ることを使命とすると規定されています。
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
税理士法第1条(税理士の使命)
日本税理士会が作成している100の提案の中では、税理士は「納税義務者からも税務当局からも主体性を持つ」と記載されています。
そして、実務だけではなく、実務に関する研修等により自己研鑽を行うことで、公平性を維持することができるとも言っています。
「独立した公正な立場」については、税理士が納税義務者からも税務当局からも主体性を持ち、公正であるための必要条件である独立性を確保することと、税制その他の実務に関する研修等により税理士としての知見をアップデートし続けることで、専門家としての公正性を維持するための条件が整うことになるものと考えられる。
日本税理士会連合会 業務対策部「税理士の専門家責任を実現するための100の提案」1.税理士の使命
税理士は納税者の税務代理人
税理士はあくまでも税務代理人になります。
もちろん質問されれば、「こういうふうに考えます。」という意見を述べます。
でも、最終的に判断して決めるのは、納税者本人になります。
主役は納税者です。
税理士が言っている通りにしないといけないと思っているクライアントがいて、対峙することもあるでしょう。
税理士の言質を取って、お墨付きをもらいたいという意図もあるんだと思います。
でも、これは違います。
税理士の意見を聞いて、その上で、納税者が最終的に判断することになります。
当然、税務上のリスクについては説明しますが、納税者の判断に従うことになります。
でも、脱税は阻止しますし、そもそも、そのような納税者の税務代理人になることはしません。
税理士は納税者側でも税務署側でもない
納税者にとって税理士はこっち側の人だと思っている人がいます。
「納税者・税理士VS税務署」という構図です。
でも、これって正しくありません。
国税で働いていた頃に税務調査に行くと、納税者寄りの税理士を見かけることがありました。
税理士報酬を受け取っているから仕方ないかもしれません。
でも、税理士は、税務署と納税者との間に入って第3者の立場から判断する必要があります。
「独立した公正な立場」においてです。
もちろん、税務調査で国税職員が誤って指摘しているのであれば、厳正に反論する必要があります。
ただ、明らかに法令等に照らして誤っているのに反論することは、調査を長引かせるだけで、納税者のためになりません。
納税者に税理士コストが発生しますし、精神的にもストレスがかかります。