不動産投資の損益通算による節税の誤解

不動産投資には損益通算というメリットがありますが、損益通算に至らなくても節税になるケースがあります。

不動産投資の損益通算による節税

給与所得と不動産所得の赤字を通算することによって、給与所得の所得税から還付を受けることができます。
不動産所得を赤字にするには、減価償却費を多額に計上する必要があります。
アパートなどの木造の耐用年数は22年です。
中古物件で築年数が22年経っていれば、4年(=22年×0.2)で減価償却することができます。

給与をたくさん受け取っている人ほど所得税の税率が高いので、より多く還付を受けられ、効果が高くなります。

損益通算にならなくても節税になる

損益通算という言葉が広まりました。
よく「高額所得者でないと、節税にならない」と言われます。
これは合っていると言えば合っていますが、言葉が足りません。
「損益通算による節税にならない」というまくら言葉が入ります。

損益通算に至らなくても節税になることがあります。
家賃収入から減価償却費を引いて利益が出ないと、税金はかかりません。
一方で、家賃収入からローンの返済、経費の支払いを引くと手元にお金は残っていきます。
収入と経費がトントンで、給与所得からの還付を受けられなくても、無税でお金を受け取っていることになります。

損益通算の言葉が先行し過ぎている気がします。

損益通算の出口戦略は考えている?

減価償却費を4年で計上するということは、その後に計上する減価償却費がなくなります。
家賃収入から減価償却費が引けなくなると、利益に所得税がかかることになります。

所有し続けないで、売却すればよいと思うかもしれません。
減価償却費を多額に計上するということは、その分、建物の簿価が減ります。
減価償却費を計上し終わった後に、建物の簿価がなくなると、売却するときに利益が出ます。

5年経っていれば譲渡所得税率は20%になります。
高額所得者にとっては、給与所得の税率の方が高いので、その差を利用することができるメリットはあります。

ただ、簿価が低くなることを考慮して、譲渡所得税を払うことは考えておかないと行けません。
次の物件の初期費用によって給与所得の所得税から還付されるので、そのお金でまかなうことはできます。
でも、せっかく苦労して買った物件を、税金だけ考えて5年で売却するということが本当に良いかどうかの検討も必要です。
司法書士の登記費用、登録免許税、不動産取得税のコストもかかります。

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