資産管理会社で法人を設立することがありますがいつが良いのでしょうか。
法人化が必要な理由
法人化にはいろいろなメリットがあります。
- 個人との税率差を利用した税負担の軽減
- 役員報酬に費用計上による所得圧縮と所得分散
- 給与所得控除による低所得化
- 複数法人所有による所得分散
- 減価償却費の任意計上
- 生命保険による費用計上
- 中小企業倒産防止共済(セーフティ共済)による費用の先取り
- 自己負担10%の社宅
- 出張手当・日当、役員退職金の非課税
- 決算期のズレを利用した所得移転
- 青色欠損金は繰越・繰戻
- 短期間の売買、所得通算が可能
- 事業承継を見据えた相続税対策
所得金額800万円が分岐点だが、、
一般的には所得金額800万円が目安になります。
なぜ所得金額800万円が目安になるのでしょうか。
税率の分岐点だからです。
個人の所得税率になります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得金額が800万円の場合の税金は1,204,000円(=8,000,000円×23%-636,000円)となり、実行税率は15.05%(=1,204,000円÷8,000,000円)です。
一方、法人の税率になります。
区分 | 適用関係(開始事業年度) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平28.4.1以後 | 平30.4.1以後 | 平31.4.1以後 | 令4.4.1以後 | |||||
普通法人 | 資本金1億円以下の法人など | 年800万円以下の部分 | 下記以外の法人 | 15% | 15% | 15% | 15% | |
適用除外事業者 | 19% | 19% | ||||||
年800万円超の部分 | 23.40% | 23.20% | 23.20% | 23.20% | ||||
上記以外の普通法人 | 23.40% | 23.20% | 23.20% | 23.20% |
中小企業は所得金額が800万円以下ですと15%が適用されます。
個人は所得金額800万円を超えると15.05%の実行税率が上回っていくことになるので、その超過部分を法人に移して、法人でも15%の恩恵を受けることができます。
これが所得金額800万円を分岐点とする理由です。
厳密には地方税も含めて計算します
資産管理会社による法人化は早めの方がよい理由
当然ですが、先ほど計算した所得金額800万円は、経費や費用を引いた後の金額になります。
法人化すると経費の幅が広がるので、一概に比較することができません。
例えば、法人は個人に支払った給与を経費に計上することができます。
個人の方では給与収入ですが、概算経費である給与所得控除が引かれるので実質的に費用となります。
個人で不動産投資を始めて、不動産を法人に移すことが多いと思います。
譲渡所得税、登記費用・登録免許税、不動産取得税などのコストが追加で必要になってきます。
また、個人と法人で不動産投資をしていると、経費や費用の按分に手間がかかります。
個人が所有している不動産を法人にサブリースした上で貸すこともあります。
また、サブリースに切り替えるには、マスターリース契約(一括賃貸借契約)の作成はもちろんですが、借主とサブリース契約(賃貸借契約)、管理会社と管理委託契約を結び直す必要があります。
手間がかかります。
法人に帰属する所得はせいぜい20%ですので、最初から不動産所有法人にした方が良いです。
ですので、資産管理会社をいずれ設立するのであれば、可能な限り、早めに設立することをおすすめします。